理論と実証2

東大のミクロワークショップで、マイクロクレジットの実験論文を報告。
理論の先生方からいろいろ有益なコメントをいただけた。


帰り道、恩師の一人である松島先生と途中まで一緒に帰った。
理論家である松島先生としては、
ミクロ実証とかいいながらミクロ理論とほとんど関係がなく
理論の実証になっていないような
Levitt流、David Card流、Duflo流の実証研究が多くなっていることに、
不満のご様子。


これについてはまったく同感で、
Program evaluationなども、
理論はさておき、効果があったかどうかを見ることに終始していて、
理論的にどういう場合に効果がありえて、どういう場合に効果が期待されないのか、
ということが詰められていないから、
最終的に結果が出てきたとしても、ああ、そうですか、ということになってしまう。
Identificationだけにこだわった論文も、それはそれで重要なトピックだし、
Identificationがうまくいっていない推計結果を報告することは、
バイアスのかかった情報、つまり嘘の情報を流していることになるので、
Identificationは最低限パスされるべきだと思うが、
それを超えて、もっと理論と結びついた研究がもっと多く出てくるのが望ましいと思う。


やはり、現実の問題に適用できうる理論があって、
それが本当に妥当なものなのかを実証分析で明らかにする、
というスタンスは、もっと重視されてしかるべきだ。

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