信用制約2

とりあえず、質問票を少しだけリバイズして、
マイクロクレジットの共同研究先と共有するタイムスケジュールのドキュメントを書いた。

信用制約は、
一般的に議論されるときには、
ある一定額以上の借り入れはできない、
と単純化してモデル化されることが多いが、
実際には、
高い利子率を払えば、結構moneylenderから借りられることが多いので、
実証研究をしようとするときには、
その違いに気をつけなければならない。

信用制約が問題になるのは、たとえば、
・お金を借りられないために収益性の高い投資ができなくて、貧困層が貧困から脱出できないとか、
・お金を借りられないために収益性の高い子供への投資が行われないとか、
そういう文脈で語られる。

これを実証するために、

1.借りようとしたことがあるか:Yes/No
  Yesなら2へ、Noなら、その理由
2.借りることができたか:Yes/No
  Yesなら3へ
3.希望する額だけ借りられたか:Yes/No

という一連の質問をして、

・2か3でNoと答えた家計
・1でNoと答えて、その理由が、「どうせ断られるから」「借りられないと分かっているから」「貸してくれる人を知らないから」などと答えた家計

を信用制約に直面している、とすると、
たとえば、Moneylenderから高い利子率でお金を借りた家計は、
信用制約に直面していない、と分類されることになる。

しかし、
・お金を借りられないために収益性の高い投資ができなくて、貧困層が貧困から脱出できないとか、
・お金を借りられないために収益性の高い子供への投資が行われないとか、
そういう話をする際には、
「Moneylenderからは借りられるが、利子率がとてつもなく高いので、
収益性のかなり高い投資でも儲けがほとんどなくて投資が行われず、
貧困層が貧困から脱出できない」
「子供への投資は収益性が高いが、その収益性よりもMoneylenderに課される利子率の方がはるかに高い」
ということも、当然考えられるべきである。
なぜなら、彼らは一般に市場に出回っているよりも高い利子率に直面しており、
もし仮に一般の市場利子率で借りることができれば(信用制約を議論する際も、一般の市場利子率で評価して議論が行われている)、
収益性の高い投資を行い、所得を高めることが可能となるからである。

そもそも、
・お金を借りることがまったくできない
という状況と、
・お金を借りることはできるが、年利が200%(誇張だが)も取られる
という状況とで、
結果に対してそれほど決定的な違いがあるとも思えない。

質問票から「信用制約」に直面している家計をIdentifyして何らかの分析を行う、
という際には、
その「信用制約」がどういった状況のことを指しているのか、
少し考えてみた方がいいかもしれない。
(たとえば、高利貸し以外には金融アクセスのない家計を「weakly」 credit
constraintとして扱ってRobustness checkをしてみるとか)

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