「バスをくれ」

調査地であるMandyaに行って、調査のアレンジメント。


3時半頃にすべて終わった後、
現地で雇っているアシスタントに民芸品工房に連れて行かれ、
その後、MandyaのDistrict Hospitalに連れて行かれて、
彼らのボスでもあり、我々の携わっているマイクロ健康保険のネットワークホスピタルの院長でもある医師と会った。


最初、調査のことを聞いてきて、
その後、彼の病院では村人に対して健康診断を無料でやっていることなどを話してきた。
それで、
「村人を病院まで連れてきて、それからまた村まで送っていく必要がある、
ついては、
50人乗りくらいのバスを買ってくれないか?」
などと唐突に話してきた。


こっちは、「???」。。。
いきなり何の話だ???


なんでも、
こちらは調査の手伝いをして、
うちの部下はただで働いている、
そっちも何かしらこちらにContributionがあるべきだろう、
などと、
まじめな顔で、おおっぴらに、しゃあしゃあと言う。
バスを寄付してくれそうな人に話してみてくれ、とも。


共同研究者が、それでも誠実に、
うちはそのような金の使い方は認めていないし、
バスを寄付しそうな人に話をすることはできるが、最終的に決めるのはうちらではなくその人だから、
バスの件については何も約束することはできない、
と対応してくれた。


健康保険を売ることで病院の患者も増えるはずだから、
彼にもそれなりのメリットがすでにあるはずだし、
そもそも、こんなたかってくるような奴が
ネットワークホスピタルの院長であることに愕然とした。
こんな性根じゃ、
保険の水増し請求をしたり、
必要もない手術をしたりしてしまうんじゃないか。


そういえば、共同研究機関のボスが、
彼には気をつけた方がいい、
と言っていたっけ。


この事件をきっかけに、
Doctor moral hazardについても、
今回の研究に織り込むことにした。


これまでのところ、
保険の買い手の側のAdverse selection, ex ante moral hazard, ex post moral hazardを分析するためのデザインを作っているので、
Doctor moral hazardも織り込めば、
健康保険における全ての情報の非対称性の問題をカバーできることになる。
災い転じて福と成す、かな。


まあ、そんなにバスがほしいのなら、
すべてが終わった後で
チョロQのバスでも買って、駐車場にちょこんとおいて、
「前に話のあったとおり、バスを寄贈します。
前の駐車場にとめておきました。
ちょっと期待されているものより小さいかもしれませんが、
排気量がものすごく少なく、非常にエコでグリーンな車です。」
と言って期待満々にさせておいて、
駐車場に案内して、
ちょこんとおいてあるチョロQでもプレゼントしてあげようかな。
「ほら、こうやって後ろに引くと勢いよく走ります!
排気量ゼロで、ほら、こんなに速いですよ〜〜〜!!!」