Family Ties and Organizational Design

先週の金曜日に、北京大学のLi-An Zhou氏が来て、
Hongbin CaiやHongbin Li、Albert Parkと共著の
"Family Ties and Organizational Design: Evidence from Chinese Private Firms"
を発表。


Firmとmanagerの間のAgency problemの簡単なモデルを作り、
Firmがmanagerの効用も考慮し、managerがfirmの利益も考慮するという、
Altruisticな状況が成り立っていると考えられるFamily firmのOptimal contract designを考えて、
以下の3つの性質を導いている。
仮説1:family managerのボーナスは、そうでないmanagerのボーナスに比べて、firm performanceにたいしてless sensitive (family managerはfirmの利益を考慮するので、金銭的incentiveがそれほどhigh-poweredでなくても努力してくれる)
仮説2:給与のFixed salaryの部分は、family managerの方が高い(firm performanceが増えた時に増えるボーナスの額が少ない分、Reservation utilility以上の効用を提供するにはFixed salaryの部分が大きくないといけない)仮説3:family managerの方が、firm performanceにより大きな影響を与える仕事につく 


そして、実際にこの3つの仮説が成り立っていることを
同一企業の複数のmanagerについて調べたオリジナルの企業サーベイデータを利用したFirm fixed effect modelによって示し、
さらに、family firmsの方が利益率などが低いという証拠も見出せないことから、
Family firmにおけるインセンティブデザインが、
firmとfamily maneger間のAltruismを前提にした合理的選択として説明でき、
family firmだからといって非効率なわけではないことを示している。


さらに、以上の結果は、Discrimination(family memberをえこひいき)やmanagerレベルのunobservablesによって得られたものでないことも
データと理論を使って示しており、
非常によくDefenseされている。


Discriminationに関しては、モデルで考えると、
Firmはfamily managerの効用を考慮するが、family managerはfirmの利益を考慮しないものとして考えられ、
その場合には、仮説1は成り立たなくなるはず(firmはまず努力水準を最適化してfamily manegerにfixed salaryとしてtransferする)ので、
仮説1が証明された時点でDiscriminationが棄却されていることが示されているのではないか、
などとコメント。
とても有意義な意見交換ができた。


さらに、彼はMicroinsuranceについても、
Microinsuranceによって雌豚の飼育数が増えたことを示したフィールド実験も行ったようで、
それに関してもいろいろ話を聞けた。
論文はこちら↓

http://www.nber.org/papers/w15396.pdf