HIV治療・ワクチンに向けた大きな発見

LA Timesの記事によると、
HIVウイルスの9割を無力化する抗体が発見されて、
新たなHIV治療薬やエイズワクチンの開発に再び可能性が見えてきたようだ。

"A breakthrough in AIDS research"
http://www.latimes.com/news/science/la-sci-hiv-antibodies-20100709,0,1679886.story


HIVウイルスには様々な亜種があるが、
この抗体はほとんどの亜種に対して90%の確率で無力化できるらしく、
これまで発見されてきた抗体はせいぜい4割を無力化する程度だったそうだから、
かなりの進歩のようだ。
その抗体は人体で生成されるものだが、バイオテクノロジーでも作れるらしい。
現在はHIVに感染した動物に対して効くかどうか試しているところだとか。
さらに、別の研究者グループも、
この抗体がブロックできなかったHIVウイルスの亜種に対して有効な抗体を見つけたらしく、
エイズワクチンの開発や新たな治療の開発に、大きな希望が出てきたようだ。


去年だったか、タイでエイズワクチンのランダム実験が行われて、
一応、有意に感染率を減らせるという結果が出たものの、
感染率が減少する割合はわずかで、
しかも、実験以前から感染していた人たちを除くと有意性が失われたりしたことから(記憶間違いでなければ)、
エイズワクチン開発の希望はしばらくの間はついえたかにみえたが、
今回の発見で、また大きな希望が生まれてきた。


ちなみに、その科学者たちがこの抗体を発見した血液は、60歳のアフリカンアメリカンのゲイの男性のものだったらしい。