Data-driven analysis

NY Timesに、Data-drivenな意思決定が企業の生産性を5-6%高めているという研究が紹介されている。
http://www.nytimes.com/2011/04/24/business/24unboxed.html?_r=2&emc=tnt&tntemail1=y


元になっている論文は、
"Strength in Numbers: How Does Data-Driven Decisionmaking Affect Firm Performance?"
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1819486


データは、179企業の調査データ。
Data-drivenな意思決定をしているかどうかは、
企業の生産性に影響を与える観察不可能な要因(人材や他の戦略)と相関している可能性があるので、
当然OLSではだめなわけだが、
IVとして使っているのは、

  • adjustment cost
  • firm age
  • the consistency of business practices for data-driven decision making

で、どれも誤差項と相関してる可能性が高い感じがするものばかり。
IVが3つあるのでOveridentification testもしてるけど
3つとも、仮に誤差項と相関してた場合に生じるバイアスの方向は同じなので、
Overidentification testが棄却されないからと言って、
IVが妥当だという証拠としてはかなり弱い。


こんなふうに、IVや推定手法がちょっとやそっと怪しくても、
New York TimesにはMITのビジネススクールの研究者のScientific evidenceとして紹介されてしまうわけで、
世の中には、
Scientific evidenceとして自分たちは認識しているけれど
実はScientific evidenceじゃない情報というのは、結構あると思う。


ところで、最近、Mobile moneyが幾つかの地域で結構用いられるようになってきて、
マイクロファイナンスなどいろいろな方面で応用されるようになってきたけれど、
Mobile moneyのTransaction dataを使った大規模なData driven analysisというのも、
そろそろ本格的に行われ始めても良い気がする。