感染予防としての抗HIV薬早期投与

NY Timesの記事:

Early H.I.V. Therapy Sharply Curbs Transmission
http://www.nytimes.com/2011/05/13/health/research/13hiv.html?_r=1&emc=tnt&tntemail1=y


通常はCD4カウントが350(以前は200が目安)とかを下回ったら抗レトロウイルス薬(ARV)を投与するのだけれど、
この研究では、
HIVと分かった時点でARV投与を始めたら、
(2005年に始まったので、おそらく5年後の)パートナーへの感染率が96%下がった(Treatment groupではわずか1例、Control groupでは27例)、
というもの。


96%という数字はかなり大きい。
世界中のHIVキャリアにすべてARVを与えるには莫大な金額がかかりそうだが、
金額面だけで見ても、
この結果をもとに、
(A)現状のHIV政策を続けた場合と、
(B)世界中のHIVキャリアすべてにARVを与えて感染率を減らし将来必要なARV数を減らした場合の、
現在から将来にわたる必要ARV数とその金額を推定して、
どのような政策を選択するか、という議論はなされるべきだと思う。


もちろん、早期ARV投与によって感染確率が下がるという情報が広まった結果、
ARVを早期に投与された人々の行動が変化して、よりRisky sexをするようになって、
感染率の低下が期待されたほどは起こらないかもしれないので、
上のような議論の際には、そうした効果も検証していく必要がある。