メディカル・イーティング Again

以前、
癌の治癒をうたう食事療法「メディカル・イーティング」について
書いたことがあったが、
http://d.hatena.ne.jp/hisakijapan/20090929/1254241810

そのおかげで、
GoogleやYahooから「メディカル・イーティング 口コミ」などで検索して
こちらのブログにやってくる人も結構多いようだ。
実際、「メディカル・イーティング 口コミ」でGoogle検索してみると、
一番上にヒットした。


「メディカル・イーティング」で検索しても、
「メディカル・イーティング 口コミ」で検索しても、
ほとんどが広告みたいなものばかりで、非常に情報が乏しいのだが、
一つ、参考になるHPを見つけた。


NATROM NATROMの日記
http://triple-c.sakura.ne.jp/hatena_dl/each_hatena_show.php?id=214309


このHPは、レイアウト的にはなんかインチキくさいトンデモ的な香りのするレイアウトなのだが、
中身は、
むしろ、医学にまつわるトンデモ話を斬る、
というもののようだ。


印象に残った部分を、以下に引用:

商品を売るという目的からすると、そもそもが体験談が事実である必要すらない。体験談を語る人の名前や年齢や顔写真も捏造可能であり、その体験談が事実である証明にはならないが、そういうことに気付かない人がターゲットなのだ。医学に詳しい人がみたら、捏造か、それでなくても正確さに著しく疑問があるとわかるような体験談でもかまわない。たとえば、このようなもの。

人工肛門が外せるほど回復


20代後半になって便秘がさらにひどくなり、血便が出るので痔かと思い病院に行ったら
医者から直腸ガンと言われガク然としました。
その後、人工肛門を入れることになってしまいましたが、食生活を変えないとまた再発すると言われ、
たまたま知人を通して知った井上先生の指導を受けることになったわけです。
(井上先生、その節はたいへんお世話になり有り難うございました)
食餌療法を始めてから1年くらい経つと、人工肛門を外してよいほど良くなり、こんなことは前例がないと医者にも驚かれました。

人工肛門がどのようなもので、なぜ直腸癌の術後に人工肛門が必要なのかを知らない素人が適当に体験談を書いたらこうなる。人工肛門を造設する場合、一時的なものと永久的なものとがある。一時的人工肛門造設の場合は、肛門を温存し、数ヶ月後に人工肛門を閉じる2回目の手術を行う。上記引用した体験談は、一時的人工肛門ではないと思われる。なぜなら、「こんなことは前例がないと医者にも驚かれました」とあるからだ。前例がないどころか、初めから予定されていた通りの経過である。驚く要素はない。

永久的人工肛門から離脱できたとなると、なるほど、これは前例がないと言えるだろう。永久的人工肛門をつくるような直腸癌の手術では、肛門ごと切除される。いったい、どうなったら「人工肛門を外してよいほど良く」なったと判断できるのか、想像できない。肛門が再生したとでもいうのだろうか。どれくらい信じられないレベルかというと、たとえて言うなら、

「交通事故で右足を失い義足となってしまいましたが、食餌療法を始めてから1年くらい経つと、義足を外してよいほど良くなり、こんなことは前例がないと医者にも驚かれました」
というのと同等である。「人工肛門を外してよいほど良く」なった症例を診た医師は是非とも報告すべきである。報告先は、医学雑誌ではなく、バチカンだ。

自分は人工肛門の部分の話は回復するとそんなこともあるのかな、と思っていたくらいだったが、
医学の知識がある人が見ると、びっくり仰天するような話らしい。


病気を治すと謳う情報商材の類はすべてインチキとみなしてよい。その「情報」とやらが、十分に検証され、確かに効果があると証明されているものであれば、高い金を出して買わなくてもアクセス可能である。論文や公的なガイドラインとして発表されている。その「情報」が門外不出で、よそでは手に入らないものだとしよう。では、その「情報」が正しいと誰が保証しているのか?自然治癒能力促進協会とやらが関わった患者は何人で、癌の種類や進行度はどれくらいで、治ったのは何人なのか、発表されていなければ検証しようがない。高い効果があると自称しているが第三者から検証されていない情報も、別に高い金を出さなくても、そこらじゅうに転がっている。医療系の情報商材は何らかの規制が必要だと私は考える。というか、「私が指導する病状別の食事法を続けるだけでほとんどの方を改善へと導いております」というのはアウトにならないのか?

効果がないと自覚しながら情報商材売りつけるのは悪ではあるが、それ以上に、効果があると信じていながら情報商材を売りつけるのは極悪である。情報を公開し、第三者が検証し、効果があると認められれば、世界中でかの食餌療法が使用され、世界中の人たちが「糖尿病、C型・B型肝炎エイズなどの感染症、さらに白内障膠原病脳梗塞動脈硬化といった循環器系疾患まで」、ほとんどの人が改善するのである。世界中の患者さんの健康と引き換えに小銭を稼ぐ以上の悪があるだろうか。

「効果がないと自覚しながら情報商材売りつけるのは悪ではあるが、それ以上に、効果があると信じていながら情報商材を売りつけるのは極悪である。」
というくだりは、名文だ。
メディカル・イーティングの関係者は、
本当に効果があると信じているのなら、
きちんとその効果を検証し、
効果が本当に確認されたなら、
専門雑誌に投稿して世界中の人々に新たな治療方法を示して、
多くの人々がその恩恵にあずかれるようにしていただきたい。
もし検証して効果が確認されなかったら、
食事療法の改良に努めて本当に効果があるような両方を生み出す努力をするか、
「申し訳ありません。今まで間違った情報を発信し効果のない商品を高値で売り付けていました」と
正直に告白してもらいたい。



追記:
代替療法については、国立がん研究センターのサイトに、
これまでの研究のちょっとした紹介がある。
http://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/alternative_medicine.html

メディカル・イーティングやフコイダン、アガリクスなどについては書かれていないけど、
ビタミンAやビタミンCのサプリメントは、
放射線治療や化学療法などの効果を阻害してしまうため、
むしろとっちゃいけない、
というのは、結構大事な情報だと思う。
フコイダンやアガリクスについては、
国立栄養・健康研究所のこのページから情報を探せる:
http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv.html#Jw06