Framed Field Experiment

今日、開発学会で、
マイクロクレジットのFramed Field Experimentの論文を発表してきた。


Framed Field Experimentというのは、
例えばマイクロクレジットに関するトピックであれば、
実際にマイクロクレジットに参加している(あるいは参加対象の)人たちに被験者になってもらい、
実際のマイクロクレジットに近い形のゲームを行うというもの。


発表が終わった後なので書くが、
これ系の研究は、そろそろDead endな気がしている。
自分でモデルの構造に沿ったゲームを作って、
実際に人々がその通りに行動しているかを見たりするわけだが、
普通の実証研究の場合には、
そのモデルが現実のある部分を説明しているかを検証するのに対し、
こういったFramed Field Experimentの論文は、
そのモデルに合うようにゲームの構造を人工的に設定して、
人々がモデルの均衡行動を選ぶように利得構造を設定しているわけなので、
モデルが現実妥当性があるかどうかの検証になっていない。
あくまで自分が設定した世界ではモデルの予測通りに動くけれど、
現実の世界の利得構造、経済構造は自分が設定したゲームとは異なる可能性もあるわけで、
理論通り人々が行動したということが観察されても、
それは理論の現実妥当性とは関係のない話ということになる。



行動経済学の効用関数VS新古典派効用関数
のように、
代替的な仮説がきちんとあって、
かつ効用のように実験者が設定できず
人々の選択からどちらの仮説が正しいかを検証できるような枠組みなら
Framed Field Experimentをやってもよいが、
そうじゃなければ、やる意味はあまりないのではないかと思う。