Insurgency, Agrarian Reform, and Long-run Development: Lessons from the Mexican Revolution

経済史のセミナーに参加。
最近、特に開発の分野で経済史はホットだが、
今回も、この前ペルーの16世紀〜19世紀の強制労働の話でEconometricaに載せてしまうという離れ業をやってのけた、
ホットなPhD candidateのMelissa Dellの報告。


20世紀初頭にメキシコ革命が行われ、
反乱の多かったところほど民衆に取り入るために農地の再配分を含む農地改革が進められたが、
その農地改革では再配分された農地(共同所有なので正確には農地の使用権)は
・売買禁止
・貸借禁止
・農業労働者を雇うことも禁止
という制限が課されていた。
こうした政策が、後の経済パフォーマンスにどのような影響を与えるかを調べた論文。
実際には、メキシコ革命時の反乱が後の経済パフォーマンスに与えた影響を調べているので、
上の仮説の検証はあくまで間接的。


反乱の操作変数としては、
メキシコ革命前の干ばつを使っているが、
F値もかなり高い(20近い)ので、Weak instrumentの問題はなさそう。
そして、
・反乱が多かったところほど、農地改革で再配分された土地の割合が高い
・反乱が多かったところほど、工業やサービス部門の賃金が低い
・反乱が多かったところほど、2010年時点での農業従事者が多く、工業従事者が少ない
・反乱が多かったところほど、市長の政党の交代が起きていない
・反乱が多かったところほど、現在暴力や犯罪が多いという証拠は見いだせないので、経済パフォーマンスが低い要因は、やはり農地改革によるものである可能性が高そう
ということを示している。


干ばつ→反乱→農地改革
という経路があるなら、
なぜ干ばつを農地改革のIVにして、農地改革が現在の工業部門の賃金や工業雇用者数に与える影響を直接推計しないのか、
という疑問はあるが、
メキシコ革命時の反乱の影響が、農地改革という政策を通して今も続いていることを示している点で、
スケールの大きな論文だと思う。


プレゼンも、
質問への対処の仕方とか、手ごわさを感じさせる受け答えだった。
自分ももっと英語のプレゼンがうまくなりたいぜ。


http://kateikyoiku.blogspot.com/2011/09/blog-post_20.html?spref=tw
によると、
アメリカでは、
小学2年生で、
聴衆とのアイコンタクト、
メモなし発表、
分かりやすい序論と結論、
質問への的確な回答、
ビジュアルの工夫
などが要求されてるらしいから、驚きだ。