@インド

昨日の夜からインド。


今日は、5〜6月にやってもらったサーベイと、
今後の実験のImplementationについて、
協力機関とディスカッション。


ちょっと話していて興味深かったのは、
インドの病院の診察報酬体系。
保険会社がどこかによって、
病院が課す医療報酬も異なってくるらしい。
協力機関は貧困層向けのマイクロ保険を販売しているのだが、
保険料が安いこともあって、
各治療行為に対して病院に支払う金額も、
他の保険会社のものと比べると低く、
そのために、保険を持っていても長い時間待たされたり、追加的な金額を請求されたりすることもあるんだそうな。

保険を持っていなくても、
その人がどういう人かによって診療報酬も変わってきて、
医療機関はその人のバックグラウンドなどの情報も集めていて、
お金持ちだと金額も高いけど丁寧な診療を受けられ、
貧しい人だと、金額も低い代わりに、それなりの診療しか受けられなかったり、長いこと待たされたりするんだそうだ。


日本の医療に慣れている立場からは、貧しい人に対する差別だ、というふうに思えてくるのだが、
一方で、それぞれの人のWillingness to payに応じた価格体系を取っていて、質を落とす代わりに貧しい人に対してもアクセス可能な価格での医療サービスを提供している、とも見ることができる。


ちょうど、同じテレビを買うにしても、
お金持ちの人は金額は高いがいろいろ機能が付いて質の高いテレビを買う一方、
貧しい人は安いけれど品質もそれなりのテレビを買う、
というのと、理論的には同じ現象。
医療サービスというと、同一の病気に対しては同一の治療が適用されるべきだと感じやすいが、
サービスの質は誰にでも同じな反面、金額もお金持ちと同じ金額を払わなければならない場合より、
サービスの質は落ちても、貧しい人でもアクセスできる金額でそれなりの医療行為を提供してもらう方が、
結局は望ましいことなのかもしれない。


ただ、このことは、現状がFirst bestだということを意味するわけではなく、
もっと医療機関の間で競争があれば、
貧しい人もお金持ちの人も、現在と同じ価格でもっと良いサービスを受けられるようになるかもしれない。


この問題は、病院からのより質の高いサービスの提供を通して、
現在関わっているマイクロ保険の有用性を高めることにつながるので、
もうちょっと考えて、アイディアを発展させて、研究プロジェクトにまで発展させたい。