Investing in (secondary) schooling in Chile

Harvard/MIT合同のDevelopment and Growthセミナーに参加。

Investing in (secondary) schooling in Chile
というタイトルの論文で、
PrincetonのTaryn Dinkelmanが発表。


Post-secondary educationの研究では、
・Preparation is cumulative
・Who should be targeted, kids or parents?
ということがMissing pieceになっていたので、
それをMotivationにフィールド実験をした、という論文。


実際のResearch questionは、
・中学になったばかりの生徒に、高等教育のための奨学金やローンに関するDVDを見せて、そのインパクトを測る
・子供だけでなく、親にDVDを見せた時の追加的なインパクトも検証する
ということになっている。


奨学金やローンを得るためには、ある程度成績も良くないといけないので、
成績が良ければ、高校に行くためにこんな奨学金やローンが得られますよという情報を与えることで、
中学生の出席率や努力なども変わる可能性がある、というのがフレームワーク
それを、学校レベルのRandomizationで実験を行って検証している。


で、結果を見てみると、
・生徒に教室でDVDを見せるのでも、生徒にDVDを与えて家で親と一緒に見てもらうようにするのでも、学校の出席率や、奨学金・ローンを利用すると答えた割合が、有意に増加した。
・DVDを与えて家に持って帰って親と一緒に見てもらうようにしても、生徒だけに教室でDVDを見せた場合と対して効果に違いはなく、親にDVDを見せた時の追加的なインパクトはなかった。
・生徒にDVDを見せたり、親にもDVDを見せたりしても、親の報告する子供の欠席には有意な効果がなく、親が子供の欠席をきちんとモニターできていない可能性があり、それが親にDVDを見せた時の追加的なインパクトがなかった理由かもしれない
ということが明らかになった。


生徒にDVDを与えて家で親にも見てもらうのだと、
DVDを見ない可能性もあって、DVDを見ない家計は見る家計とシステマティックに違うかもしれない、
という問題(それはLATEである程度克服できるが)とか、
いろいろ突っ込むべきポイントはあったのだけれど、
とにかくBen Olkenの突っ込みの鋭さと、Rohini Pandeの厳しさが、印象に残った。


個人的には、
Motivationが、
高等教育を受けるかどうかについては、Preparation is cumulativeだということが既存研究でMissing pieceだというモチベーションの割には、
単に、成績が良かったら奨学金やローンをもらえますよ、という情報提供の効果になっていて、
Preparation is cumulativeということが実際の選択にどの程度影響しているのかについて検証しているわけではないので、
Preparation is cumulativeがどれだけ重要かは分からないまま、
という研究デザイン上の矛盾が気になった。


とにもかくにも、
鋭いコメントが出てくるセミナーに参加すると、
自分もとにかく手持ちの論文を仕上げてPublishしていかないと、
という気持ちになる。